すごい曲
楽器をやってる人で、音楽の理論を多少かじった人は、もう2度と理論を知る前の自分と同じように音楽を聴けないと思う感覚に共感してくれると思います。理論のフィルターを通してしか音楽を聴けないというのは、純粋に感動したくても、なにか邪な先入観や推測が邪魔をしてくるっていう、うんこ的な何かでうんこです。ですが、多少理論を知ることで、より作曲者の意図に近い解釈を可能にしたり、逆に理論を超越した、卓越した表現方法に気づくことができて、感動することもたまにあります。
この記事では、大衆からかけ離れてはいないものの、メジャーすぎず、また個人的に音楽的価値があると思ったアルバムを紹介していきます。(音楽を殊更好きって言う人にとってはかなりメジャーかもしれない。知らない)
ちなみに理論とかの話をする記事ではないです。
袖の汀 君島大空
君島大空さえ知ってもらえれば、もう十分です。
このアルバムほど景色を見せてくれるアルバムはないと思います。絵画より景色を見れます。海が見えます。
君島大空「光暈(halo)」Official Music Video (short edit) - YouTube
加えて、男性性の徹底的な排除も君島大空の魅力の一つだと思います。初めて聴いた時は女性かと思いました。歌詞も同様です。
自分は異常者なので、歌詞に少しでも家父長的な態度が含まれているものが嫌いで、拒絶してしまうのですが、このアルバムでは発作は起きませんでした。
歌詞とサウンドがコラージュ的に積み重なり、徐々に構築されていく景色の中で、ひとりの、もしくはふたりのニュートラルな人間として、存在することができます。
記事の一貫性を重視した選曲ですが、「向こう髪」など、どの曲も綺麗なので、一枚通して聴くと良いと思います。
オレンジチョコレートハウスまでの道のり
羊文学
アルバムを紹介すると言っておいて、初手2枚EPとは。
素直に「1999」とか、「光るとき」について書けばいいはずですが、あえてオレンジチョコレートハウスまでの道のりについて書きます。曲の一曲目と二曲目の目のタイトルが、「ハイウェイ」と「ブレーメン」。くるり好きからしたら、お!となるタイトルです。
ギターベースドラムのシンプルなスリーピースですが、ギターベースドラムとは思えない綺麗なサウンドです。
【4K】藝祭 2019(東京藝術大学)/ 羊文学 / Part 1 - YouTube
このライブ映像は有名だと思います。一曲目のハイウェイのイントロ、徐々に会場を羊文学の空気に変えていく力量が凄い。
個人的には繊細なままの楽曲が好きですが、繊細なだけでなく、歪み系の曲も良いです。オルタナティブ系譜だなあと感じます。
革命 andymori
一曲目の「革命」から聞いてください。これがかっこ良くないなら嘘です。
ボーカル・ギターの小山田壮平はまっすぐなんだと思います。物の見方も、思想も、音楽も。自分含めて、バンドをやろうなんて甲斐性の人間はどこかエゴイスティックで、どうしようもない気持ち悪さを孕んでいるんですけど、小山田壮平からはそれを感じないというか。いや、腹の中は知らないけど、あったとしてもそれを全く感じさせない言語感覚や、サウンド、声、立ち振る舞いを持っているので良いです。天性だと思います。
andymoriが他のどのバンドとも違うのは、等身大であること。むしろ等身大すぎて浮きすぎている。ほとんどの曲のコードはダイアトニックをまっすぐそのままって感じで、小難しいことはせず、また一曲のコードの種類もかなり限定的であることが多いがちで、分かりやすいっていう印象です。
革命はキャッチーです。でも本当に聴いてほしい曲は他のアルバムにたくさん入ってます。「16」や「クレイジークレイマー」......全部聞いたほうがいいです。人生を豊かにしてくれるバンドランキングがあったら、間違いなくぶっちぎりの一位。
終わり
weapons of mass destruction のメロディを聞くイラクの子供